宮田 博行 さん
ボクシングジムとしては私鉄沿線で日本一の会員数を誇る宮田ボクシングジム(東京都葛飾区)のインターネットをフル活用した戦略的な顧客獲得術についてお伺いしました。
宮田250人から280人の間ぐらいだと思います。
宮田私鉄沿線(京成電鉄)ですので、JRがないところではウチが一番多いのではないでしょうか。
宮田そうですね。このインターネットのホームページ開設の影響で、女の子が「ボクシングは怖い」というイメージが払拭できたような気がしますね。
宮田はい。他に広告を打つメディアがありませんし、テレビでCMを流す費用もありませんので、何かお客様にアピールするとか、ニーズにこたえられる形にするという意味でホームページがあるというのはかなり大きな効果があったと思うんですよね。
宮田はい。プロの子はほっといてもテレビに出たりメディアに載ってきます。ただ、その子の下で陰になっている子たちがいます。その子たちが伸びていくときに「自分たちが注目されている」と感じると大きな励みになりますね。そういう意味でホームページで一人一人をピックアップしていってあげるということが、その子たちが「自分たちも頑張るぞ」という気にさせると思います。
宮田やはり広告効果ですよね。例えば、マイク・タイソンは世界で一番強いとみんな思っていると思うんですけど、必ずしも世界で一番強いから人気があるわけではないんですね。彼には「ストーリー」があるんです。ストーリーがある、バックグラウンドがあるんで、そのバックグラウンドを楽しみながらタイソンを見ることができるんです。そういう意味で選手が自分のバックグラウンドを説明したり、個々のセールスポイントをアピールしていく場所が他にはないので、ホームページはそれから闘う選手たちがリングに上がるまでのバックグラウンドをお客さんたちに分かってもらえるようにストーリーを作る大きな役割を果たしていますね。
宮田そうですね。前もって事前情報がお客様にあれば、より面白く試合を見ることができると思うのです。
宮田これはまだまだ向上の余地がありますが、それでも宮田ジムのホームページをのぞいてくれるファンの方にチケットを買っていただいていますので、これからもっと伸びていくプレイガイドになると思います。
宮田情報発信側が思いのたけをぶつけるのではなくて、お客様が何を求めているのかを汲んであげられるような場を設けて、そこからお客様とコミュニケーションしていくのが良いと思います。
例えばウチは駅に看板を出しています。またホームページも出しています。そこで、ある生徒が「キミ、ドコのジムで練習しているの?」と誰かに聞かれて、「宮田ジムです。」と答えたときに、「宮田ジム?聞いたことないなあ。」と言われるとその子は不安になります。そうではなくて、「駅の看板で見たよ」、「テレビで見たよ」、「ホームページで見たよ」と言われるとその子は「みんなが知っているところからサービスを受けているんだ」と思い、その子にとってそのジムに通っていることが大きな財産になると思うんです。
なので、たとえ情報発信側から見て成果が出ていないように見えても、情報を受け取る側から考えたら成果が出ていることになるんです。
宮田そうです。ひとつのものを増やすというのではなくて、それがなければ一人のお客さんが去っていったかも知れないと考えることですね。「一利を増やすは一害を除くにしかず」だと思うんです。一利を増やそうと思うんじゃなくて、抜けていくものをなくすことが実は大きな利益だということに考えの焦点を当てれば、可能性としての成果を認識できるのではないでしょうか。
宮田そうですね。ワールドワイドな視野にたって日本にとどまらずに活動したいです。良い選手を作って海外に派遣したり、また、ボクが海外に行って良い選手を見つけ輸入することも考えています。
(2002年3月10日)